私的な備忘録

どちらかと言うと個人的な趣味・興味についてつらつらと。

大洗旅行記その3・大洗の方々と作品やファンとの交わりが興味深かった。

今回の大洗旅行ではGW直後の平日も滞在した。おかげで、日常に戻りつつも観光客で賑わったGWからの余韻に浸り、興奮冷めやらぬ町の方々の様子や会話を聴くことができた。中でも、お店の方々と他所から訪れたファン達との間での交流や協力関係のようなものができていたことを知り、これがとても面白かった。このエントリではそれらのことを書こうと思う。

まず大洗を訪れてまだ間もない時に立ち寄った大洗名物「みつだんご」のお店・たかはしさんで、居合わせたかなりご高齢の女性のお客さまが、「ほんとガルパン旋風だねぇ」とおっしゃってたことにすげーと思った。失礼ながら結構なお歳に見受けられアニメなどとは縁が無さそうに思えたからで、こういった方々からもさらっと「ガルパン」やら「秋山殿」なんて言葉が出てくることに、この町の方々は本当によく知ってらっしゃるんだなと嬉しくなった。

写真はウサギさんチーム・大野あやさんのパネルご担当・お好み焼き「道」さんの店頭に飾られていた、声優・秋奈さんのサイン入り戦車モデル。お店の方が実に誇らしげに紹介してくださった。

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またGW直後には、小学生のお子さまの家庭訪問があったと言う女性から、担任の先生もGW中に「街なかかくれんぼ」にチャレンジしたというお話も。というのも、「これだけ盛り上がっていて、せっかく地元の人間なのだから」ということだったそうな。企画に直接関わってなかった人たちも、地元の話題・盛り上がりとして参加しようという気持ちが伝播していってるのかもしれない。

こちらの写真は地元のタクシーで「あんこうタクシー」を名乗る車両。これを撮らせて頂いたときは「聖地巡礼中」のファンの方の貸切だった様子で、ファンと運転手さんとお店の方々が談笑してらっしゃった。運転手さんご本人のツイートによると、その方のご活躍?により社内でもガルパンの布教活動が進んでいるらしい。

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そして街なかかくれんぼに参加されたお店の方々の多くが、「あっちのお店はあんなの作ってたよ」「こっちのお店ではこんなことやってたわよ」みたいな情報交換をしながら、「いろいろ考えてやってるのがどんどん楽しくなってきた」「もっと勉強しなきゃね」と笑いながら語り合ってたのがとても印象的だった。ご高齢の方々も、「子どもや孫やファンの方々に教えてもらいながらでね」とおっしゃりながらも、商品や飾られているPOPと作品との繋がりについて色々とお話してくださったり、「使い方がよくわからなくてごめんなさいね」と言いつつファンから提供されたという編集された映像を動画プレイヤーで見せてくださったりしたことなどに、私は感心しきりだった。本当に多くの方々が一緒に新しいことに前向きに、そして楽しそうに取り組んでらっしゃるように感じられた。

こちらははてブでも人気エントリになった大洗ホテルさんのアルバイト・冷泉さん名刺。商店街の方々の間でも「若い人はいろいろ考えるわねー」と話題になっていた。

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とは言うものの、最初から皆がよく勉強して知識を持っていたというわけではないらしい。当初は、ファンが来たら写真撮ってもらってそれでおしまい、という程度に考えていたお店の方もいらっしゃったようだ。しかしGWに訪れるファンの多さと熱心さに、「これは今までのような考えではダメなのでは」と思い至り、様々な工夫を凝らし始めたところもあったとのこと。ただその状況が、先にも書いたような店同士やファンとの情報交換を促していったという面もあったのかもしれない。いずれにしても、途中から方針転換を考えてそれを実行していったところも凄いなと思った。

参加されているお店の多くに手作り感あふれる商品ディスプレイやPOPがあり、かなり制作技術が高そうなものや、恥ずかしながら私は知らなかったようなキャラ設定と商品とを結びつけた紹介文なども多く見ることができた。最初はそれらを全てお店の方々が作られたのかと思って大洗民凄過ぎだろ…と感じたりしていたが、実際には訪れたファン達がお店のためにアイディアを出したり自作したものを提供したケースも多かったとのことだった。しかしそれはそれで、お店の方々とファンとの交流が単なるおしゃべりだけにとどまらず、一緒になって町や作品を盛り上げ楽しもうという様子を伺うことができ、とても興味深く感じた。

例えばこちらは、ももがーちゃんが串かつを食べつつオススメしてくれているウスヤ精肉店さん。

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店の中には作品中でアリクイさんチームが串かつを食べているシーンが。これもファンからの情報・資料提供。また、ファンが食べ歩きやすいようにというウスヤ精肉店さんのおもてなしの心もあり、串かつを販売するようになったとのこと。さらにかつの衣には地元の米粉を使い、震災からの復興のため地元産のものを使い食べてもらいたいという気持ちが込められているとのことだった。 

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こちらはカステラなどを販売している森屋菓子店さん。丸山紗希ちゃんとカチューシャ、そしてお店の看板娘(担当パネル)の河西忍さんをイメージしたお菓子が並んでいるが、それらを紹介するこのPOPもファンが自作し提供したものだとのこと。

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丸山さんがきんつば好きだということ(公式設定)とか河西さんがひたちなか市出身(こちらも公式)だとか、知らんかった。また、「シベリア」というお菓子(カステラで羊羹をサンドしたようなもの)も、見たことはあったが名前は初めて知った。それをカチューシャと絡めた上で遊びのあるPOPに仕立てるファンや、これらを受けてお菓子を販売するお店との協力関係も面白いと思った。

またこちらは日本茶を販売している国井屋さん。普段は紅茶を嗜むアッサムさんが日本茶を手にする姿を描いたのもファンからの提供物とのこと。

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そしてここでも丸山さん登場。昆布茶が好き(公式設定、知らなかった)という渋い趣味からの抜擢だそうですが、これもファンからの情報と制作物の提供があったそうだ。

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ここに載せたもの以外にも、ファンとお店との交流から生まれた商品のアイディアや店内の陳列、POPなどはたくさんあったと思う。こちらの丸五水産さんなどもその一例。

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もちろんお店の方々ご自身が作られたものも多数あり、それらの気合の入り方もなかなか凄いと感心した。一方で、今まで身近ではなかったアニメとの繋がりで商品を考案したり店内の飾り付けをするのが得意ではないお店があるのも実際のところだったようだが、そういうお店に対してファンが積極的に関わり様々な情報やアイディアや自作物を提供したというその関係は、とても面白いことだと思う。

ガルパンをきっかけとした大洗の町興し、震災からの復興という報道をいくつか見かけ、それらの中で町と作品側との橋渡し役になられた方が常におっしゃっていた「町の人達にも楽しんでもらいたい」という話が印象に残っていた。そして今回大洗を訪れて、参加したお店の方々も実際に楽しんでらっしゃるように感じた。お店の方々が楽しんでいるからファンも積極的に関わりたくなるのだろうし、お店とファンとが一緒になって何かを作り上げていく中で、さらに両者ともに楽しさが増していくのかなと感じた。